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オヴェールの教会(訪問記)
オルセー美術館に展示されているゴッホの作品で「オヴェールの教会」という絵画がある。
13世紀に建てられたという古い石造りの教会は、ぐねぐねと曲がった太い線で描かれている。
背景の空は濃く暗めの青色で、それに対して地面は、明る過ぎるくらいの黄色をしている。
人物が通り、地面に教会の影が見えることから、昼間の光景であることがうかがえる。しかし、教会の窓は空と同じ暗い色で、夜の闇を映し出しているようにも見える。
不安定でアンバランスなのに、それでいて、全体としては力強い感じもする。
絵の前に立つと、私は、何か立ち去り難い磁力のようなものを感じる。ゴッホからのメッセージらしきものが、どこかに隠れているのではないか……? そんな気がして、しばらく見続けてしまう。
同じように惹き付けられる人は多いらしく、展示室内では、大勢の人が入れ替わり立ち代わり、この絵の前をふさいでいる。
この絵に書かれている「オヴェールの教会」は、現在も当時の姿のまま残っているという。
そう聞くと、私はこの教会を見たくなった。
教会がどんな姿をしてるのか、実際に確かめたいと思った。
そして年を改め、オヴェールの教会見学を一番の目的として、オヴェール・シュル・オワーズに向かった。
オヴェールの教会に行ってみた
オヴェール・シュル・オワーズは小さな街である。
街の案内図で見ると、先に見学した「印象派絵画館」からはだいぶ距離があるかのように思えたが、街の風景を眺めながら歩いて行くと、程なくそれらしき教会が見えて来た。
教会の裏手側から向かったのだが、
それでもすぐに「あの教会だ!」と分かった。
正面にまわってみる。
ここでも、ゴッホ作品のパネルが、観光客への案内として設置してある。
ゴッホもこの場所に立っていたんだ、と思った。
確実にゴッホはここに居て、この位置から教会を見上げ、そしてあの絵を描いたのだ。
そう思うとなんとも言えない不思議な気持ちになった。
ゴッホは私にとって、どこか非現実的で、架空の人物のような印象があった。
しかし、現在もゴッホの絵と同じ姿で残る教会は、ゴッホが確かに生きていたことの証となって、私の目の前に存在していた。
ゴッホが、急に身近になったように感じられた。
教会は もの静かに、しかし堂々と建っていた。
空は明るく澄んで、ゆるやかな風が吹いている。
ゴッホの色使い、あの暗い空色とは程遠い。
窓は普通のガラスではなく、ステンドグラスになっていて、実際に黒っぽかった。
人通りは少なく、この周辺一帯が静かな空気に包まれていた。
時折、私のようなゴッホファンと思しき観光客が現れて、写真を撮っている。
この穏やかな田舎街の教会を見て、ゴッホはあの絵を描いた。
ゴッホが描いたような、強い色彩や、曲がった太い線は、私には感じられない。
あの絵に現れた激しさは、この風景のどこからやって来たのだろう。
どうしてこの風景を見て、あの表現になるのだろう。そう考えずにはいられなかった。
あの絵は一見、風景画のようだが、単なる風景画ではない。
目にした風景そのものも描きたかったことのひとつかもしれないが、でも単に風景を描いたわけではなく、見た風景を通して自らの心象を描いた作品である。ゴッホが表現主義の先駆けと言われる所以が、実感として、少し理解できた。
ゴッホの心が痛々しいほどに反映されているからこそ、それを見る人々は強く惹きつけられ、この絵を描いたゴッホ自身について、もっと知りたいと思うのではないだろうか。
オルセー美術館のゴッホの展示室は、いつも大勢の人で混雑している。
ゴッホの絵には、人を引き付ける要素がたくさん潜んでいるからだと分かった。
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