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ゴッホの麦畑(訪問記)
オヴェールの教会前から道なりに進んで、
ゆるい坂道を登って行く。
木が繁り、道幅は狭くなっていく。
木漏れ日は、強くて濃い影を作る。
この坂を抜けると、何が待っているのだろう?
分からない何かを期待しながら、どんどん進んで行く。
坂道を登り切った。
急に目の前が開けた。
思わず、歓声を上げそうになった。
景色の上半分が空で、下半分が大地だった。
緩やかな風が、体を撫でていく。
こんな開放感は、久しく味わったことがなかった。
パリからわずか1時間のところに、こんな風景が広がっているなんて。
この麦畑は、ゴッホも絵に残している。
画家でなくても、絵に描きたくなる気持ちは、分かるような気がした。
パリではほとんど見かけない蝶が、ここではたくさん飛んでいた。
トカゲのような生き物が足下をすり抜けて行く。
頭上では、ひばりだろうか、鳥たちが楽しげに歌っている。
人間は私だけだ。
この地球上では、蝶も、トカゲも、ひばりも、人間も、みんな一緒。
みんな同じ生き物なんだな~と感じた。
そんな風に、地球規模で何かを考えてしまうくらい、私は広々とした自然に囲まれていた。
辺りに人家らしきものはない。
舗装されていない道路が続き、はるか彼方に、家畜小屋のような平らな屋根の建物が
いくつか見える程度だ。
人影もなかったが、しかし何度か、自動車が私を追い越して行った。
この近くには、墓地がある。
追い越していく車は、きっとお墓参りに向かう人たちだろうと思った。
そこには、ゴッホと弟のテオのお墓もあるという。
ここまで来たので、二人のお墓へ行ってみることにした。
とにかく見通しが良いため、墓地らしき場所もすぐに目当てがついた。
壁に囲まれた大きな敷地である。扉を押して、中に入ってみた。
日本の墓地とは、だいぶ雰囲気が違っていた。
日本で見かける背の高い墓石はなく、地面に横に置くような形のものが並んでいる。
色とりどりの明るい花や、プレゼントのようなものがたくさん供えてあった。
広い墓地の中をあてもなく歩いた。
これだけの広さがあると、二人のお墓を見つけるのは難しいかもしれない。
そう思いながら探していたのだが、意外と簡単に二人のお墓を見つけることが出来た。
ゴッホとテオのお墓は、隣り同士に並んでいた。
ゴッホのお墓には、ひまわりが一輪、供えられていた。
ゴッホとテオに心の中でお祈りをして、私はその場を後にした。
写真は、なんとなく撮るのが はばかられたので、墓地の中では一枚も撮らなかった。
墓地の敷地から出ると、とにかく続くのは、麦畑である。
舗装されていない土の道をこんなに長く歩いたのは、いつ以来だろう。
景色の素晴らしさに誘われて、ずいぶんと遠くまで来てしまった。
そろそろ街の中心部へ戻ろう。
日中は気持ちの良い空間だが、ここで日が暮れたら、かなり心細いことになるだろう。
来た時とは別の、獣道のようなところを通って、私は再びオヴェール・シュル・オワーズの駅へ向かった。
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