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シュジュの鷲(シュジェールの鷲)Aigle de Suger
ルーヴル美術館のリシュリュー翼の2階に、中世の美術工芸品が展示されている部屋があります。工芸品には、絵画作品の鑑賞とはまた違った面白さがあり、特に古いものが好きな方にはおすすめです。
(*そのような方は、中世美術館にも行くと良いですよ!)
「シュジュの鷲」は儀式用の壷で、1147年以前の工芸品です。
日本では、平 清盛が登場した頃にあたる、古いものです。
「シュジュ」というのは、サン=ド二のベネディクト派修道院の修道院長の名前です。日本では一般的に馴染みの薄い「シュジュ」という人物ですが、フランスのロマネスク〜ゴシック建築がお好きな方なら、ご存知だと思います。サン=ドニ大聖堂、ノートル・ダム大聖堂、シャルトル大聖堂などの建設、ステンドグラス制作に尽力した人物でもあるからです。
シュジュが院長を務めていたのは、中世ヨーロッパにおいて、最も裕福な修道院のひとつでした。というのも、特別な地位を持っていたからです。王家の修道院として、常にフランス国王の埋葬の場であり、戴冠式に用いる王の象徴レガイアの保管も委任されていました。
シュジュの在位は12世紀前半(1122-1151)です。国王ルイ6世の友人であり、顧問でもありました。ルイ7世の十字軍遠征中は、王朝の摂政にもつきました。
シュジュはサン=ドニの修道院を豊かにすることに熱心でした。ある櫃のなかに古代の斑岩の壺を発見すると、金具を付け加え、鷲の形をした典礼用の壺に作り変えました。シュジュは、他にも典礼用の壺を複数制作しています。美しいものや豪華なものは神のもとに辿り着く手段だと考えていたようです。
細工を行ったのは、サン・ドニ修道院が雇った金銀細工師です。
ルーヴル美術館には、他に「紅縞瑪瑙の水差し」、「アリエノール・ダキテーヌの水晶の壺」が所蔵されています。
「シュジュの鷲 / Aigle de Suger」1147年以前
3点が一緒のケースに納められています。
後側にまわって見ることも出来ます。尾や羽根の形など細部まで美しい鷲です。
紅縞瑪瑙の水差し |
アリエノール・ダキテーヌの水晶の壺 |
この部屋には、他にも10-12世紀の美術作品が多数展示されています。 その作品群からは、ロマネスク美術の誕生と発展、当時のサン=ドニの修道院の勢いや影響力について知ることができます。 |
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