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マルク・シャガール「夢の花束」

オペラ座それまで一度もオペラやバレエを見たことがない私にとって、パリ中心部にあるオペラ座は、市内の地図を把握するための、単なる目印の一つにすぎませんでした。
そこに、シャガールの天井画があると聞くまでは。


シャガール作「夢の花束」は、パリのオペラ座(オペラ・ガルニエ)の客席の天井を飾る絵画です。

 


その場に行かなければ観ることができない「天井画」は、絵画を鑑賞する者にとって、特別な魅力があります。 画家にとってもまた、「天井画を描く」ということは、特別な意味を持つ仕事だったのではないでしょうか。

文化的に重要な建造物に天井画を残せるのは、現役中に認められた画家に限られます。
ある建物の天井に、既存の作品の中から適したサイズのもの見つけてきて、後から設置することは、通常は不可能。 天井画は、目的やサイズや予算を明確にしたうえで発注が行われ、制作されるものであるはずです。そのため、通常、死後認められた画家の作品に天井画はありません。


「マルク・シャガール」は、20世紀を代表する画家の一人ですが、その画風は、様々な芸術を見慣れている現代の私たちの目にも、かなり個性的に写ります。

パリ国立オペラ座とシャガール。
それは、とても奇妙な取り合わせのように思えました。

オペラ座では、昼の公演がない日に限り、建物内部を見学できるようになっています。
豪華絢爛と形容される建築とともに、シャガールの絵がどんな風に天井を飾っているのか、私はとても楽しみに観に行きました。



 

シャガール夢の花束



不思議な明るさを持って、軽やかに広がる絵。
見学者用に解放されたボックス席から見上げます。距離があるので、ぱっと見ただけでは細部までは分かりません。分かるのは、豊かな色使いと、たくさんのモチーフが描かれているな、ということくらい。
それでも、見上げた瞬間に魅了される作品です。


オペラ座客席複雑な形状の額に縁取られた天井画の中央からは、壮麗なシャンデリアが設置され、真下には、艶やかなワイン色の客席が広がります。
これらの存在感に負けないものにするためには、圧倒的な強い個性をもった画家の絵が必要だったことが分かります。

シャガールと聞けば思い浮かぶ、人物や動物がぐるぐる飛んでやわらかく舞うイメージそのままのような絵でした。

一度観てしまうと、ここに収まる絵は他にはないような気がしました。




「夢の花束」に描かれているオペラ作品

描かれている天井画は、14人の音楽家のオペラ作品を題材にしたものです。
14ものモチーフが描かれているという事実が、この絵の大きさを物語っています。


【オペラ作曲者名/作品名】

外側の大きい円
内側の小さい円
ラヴェル/ダフニスとクロエ モーツアルト/魔笛 グリュック/オルフェとユリディス
ドビュッシー/ペレアスとメリサンド ムソルグスキー/ボリス・ゴドゥノフ ベートーベン/フィデリオ
ラモー(作品不詳) アダム/ジゼル ヴェルディ/ラ・トラヴィアータ
ベルリオーズ/ロミオとジュリエット チャイコフスキー/白鳥の湖 ビゼー/カルメン
ワーグナー/トリスタンとイゾルデ ストラヴィンスキー/火の鳥  




オペラ座で「夢の花束」を観るには

オペラ座内部パリにある2つのオペラ座のうち、シャガールの天井画があるのは、古い方のオペラ座(オペラ・ガルニエ)です。バレエ作品を中心に上演される劇場になっています。

昼間には、オペラ座内の建物の見学、および客席の見学ができます。(上演の都合で見学不可の日もあり。)

 

チケットを買ったら、豪華な階段を登って、客席に向かってください。

解放されているボックス席があるので、そこから客席内部の様子や天井画を見学できます。



オペラ座おそらく、見学用に2ヶ所のボックスが解放されていると思います。

←この写真は、自分がいるボックスから、もうひとつのボックスを撮影したものです。
柱に挟まれたスペースに、数人がかたまって、天井を見上げています。

どちらのボックスにも行けますので、両方行ってみると、若干違う角度で天井画を観ることができます。

天井画鑑賞の必須アイテム
作品には14のオペラ作品が描かれていますが、どの部分が何の作品のどんな場面なのか、細部まで鑑賞するには、オペラグラス(双眼鏡)が必要です。細かい部分まで見極めたい方は、ぜひ持って行ってください。

オペラグラスは、観劇予定のある方はもちろん持って行かれるでしょうが、旅行中に舞台を観る予定のない人にもおすすめのアイテムです。パリでは(ヨーロッパの他の都市でも)天井の装飾が見事な建築物はたくさんありますし、ステンドグラス鑑賞などにも力を発揮します。安価なもので充分なので、ひとつ持っていると便利です。

ちなみに私のは、クレジットカードの利用ポイントを貯めて交換したバードウォッチング用(?)みたいなアウトドアっぽいもの。見た目はあまりエレガントではないですが、パリ旅行で毎回活躍しています!

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「夢の花束」を細部まで観てみた!

夢の花束見学者用に解放されているボックスに入り、天井画を観るために最も適した場所を確保し、双眼鏡と肉眼での観察を交互に繰り返し、デジカメで撮影しながら、鑑賞しました。

鑑賞しやすい場所に長い間 居続けると、他の観光客からの「この人早くどかないかしら……」という無言のプレッシャーを感じるので、しばらく見たら一旦後ろに下がり、中の人が一巡したら再び一番前に行く、という地道な活動を、解放されている2カ所のボックスで数回づつ繰り返しました。

 

長く観ていると、この辺は何の絵だな、ということが、なんとなく分かってきます。例えば全体図で、時計でいうと9時の部分。遠目では何かよく分からないこの部分も、拡大して見ると、白鳥が長い首をくるりと回転させているのが分かります。 「白鳥の湖」です。

chagall8そんな風にして、じっくり天井画を観た結果、私は発見しました。それぞれのモチーフの近くには、シャガールによると思われる筆跡で、オペラ作品名(タイトル)および、作曲者名が書かれていることを!

白鳥の下の部分には、 「Lac des cygnes Tchaikowsky」(白鳥の湖 チャイコフスキー)と書いてあります!
ということは、他の作品名も入っているのかな?
じっくりと一周観たところ、全部に書いてありました。

シャガールのサイン そしてそして、さらに!
作品名をチェックしていたら、シャガールのサインも見つけました。「Marc Chagall 1964」って書いてあるー!

普通に観ているときは全く気づかなかったのですが、いったん見えると肉眼でも充分確認できます。

冷静に考えると、「作品に画家のサインが入っている」って、いたって当然のことなのですが、この時の私には、かなりエキサイティングな発見だったのでした。


この日、オペラ座内部を見学に訪れた人の中で、最も長い時間、この素晴らしい天井を見上げていた人は、たぶん…いや絶対に、私だと思います。そんなの自慢にもなりませんが、私にとって非常に充実したオペラ座見学になったことだけは確かです。

以前の私は、「シャガールは嫌いではないけど、特別好きってほどでもないな…」と思っていたのですが、この天井画を観て以来、好きになりました。この作品「夢の花束」を制作したとき、シャガールは78歳。78歳になって、こんな絵が描けるシャガールってステキだ〜 と心から思ってしまったのです。



せっかくなので、粘って撮影してきた拡大写真を載せておきます。

「夢の花束」部分 「夢の花束」部分
「夢の花束」部分 「夢の花束」部分


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