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アレクサンドル・カバネル「ヴィーナスの誕生」Naissance de Venus



カバネル「ヴィーナスの誕生」



オルセー美術館の中でも、人気のある絵画のひとつです。

優美な曲線を描くヴィ−ナスの裸体は、真珠のように優しく輝いています。ヴィ−ナスを取り囲むのは5人のキューピッドたち。顔がちょっとこわいけど、ぷにぷにした腕が愛らしいです。


ヴィ−ナスは海から生まれたとされています。そして風に乗り、貝殻にのって浜辺に漂着するのです。とすると、このヴィ−ナスは生まれたばかりなのでしょうか。それにしてはずいぶん官能的です。

この絵を描いたアレクサンドル・カバネルは、19世紀フランスアカデミーで最も成功した画家とされています。「ヴィ−ナスの誕生」は、その美しさに魅了されたナポレオン3世が買い上げたことで有名です。カバネルは、パリ市庁舎の装飾など公的な仕事も多くこなし、多数の賞や名誉を得ました。


しかし、そのような華々しい生涯を送った割に、 知名度はそう高くないように思います。「好きな画家は?」と聞かれて「カバネル」と答える人が一体どれくらいいるでしょう。知名度が低い理由のひとつに、没後著しく評価が下がったことが挙げられます。現在もあまり研究が進んでいなくて、行方不明になったままの作品も多いそうです。

 

マネのオランピアとの比較

オランピア「ヴィ−ナスの誕生」(1863年)とよく比較されるのは、同時代の画家エドゥアール・マネが描いた「オランピア」(1865年)です。
画面いっぱいに横たわる裸婦像という伝統的ともいえる構図をとりながら、マネの作品に描かれているのは娼婦です。

裸の女性を描く場合、歴史や神話をベースにすることが暗黙の了解だった当時において、あからさまに人間、しかも娼婦を描いたこの作品は大変な批判を受けました。裸婦を描くなら、カバネルのように描くべきとされていたのです。


しかし、のちに印象派が美術史的な流れの中心になってくると、相対的にカバネルの評価は低いものとなり、時代にあわないアカデミズム絵画として批判されることになりました。

マネと親しかった文学者エミール・ゾラの言葉が残っています。
「ミルクの川で溺死しているこの女神はまるで美味そうな娼婦だ。ただしこの娼婦は卑しい肉と骨から出来ているのではなく、ピンクや白のマジパン製ではあるが。」
たいへんに手厳しい批評です。


たしかに「オランピア」が放つぴりぴりとした緊張感のようなものは「ヴィ−ナスの誕生」には感じられません。しかし、その甘美で理想美的な作風こそが、広く好まれていたはずではなかったのでしょうか。皮肉にも、画家の最大の魅力であった部分が、少しづつ時代の思想からあわなくなっていきました。
そしてカバネルは、顧みられることもなくなっていきます。

 
『ヴィーナスの誕生」部分拡大「マジパン」とは砂糖とアーモンドと卵白を練ったお菓子。ケーキを飾る花や人形などに使われます。
ピンクや白の、甘くて優しいマジパン製ヴィ−ナス。

改めて、この絵を眺めていると、ゾラの批判はむしろ、褒め言葉のようにも思えてきます。
今となっては、オランピアと比較する必要もないのですから。





*マネの「オランピア」もオルセー美術館に展示されています。ぜひ両方を鑑賞してきてください。
(関連する記事: 絵のはなし マネ「オランピア」



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