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アンヴァリッド Hôtel des Invalides

アンヴァリッド「アンヴァリッド」とは、1670年にルイ14世が創設を命じた負傷兵士を収容するための施設です。設計は、リベラル・ブリュアン(Libéral Bruand)によります。

それ以前には、傷を負った兵士を看護する施設はありませんでした。当初は5,000人を収容できる規模があり、寄宿施設だけでなく、養護室、食堂、教会なども備わっていました。

フランス革命の時には、この施設内にある武器庫から大量の銃が持ち出されたという記録も残っています。

 

【 マメ知識】
「invalide」を辞書でひくと、形容詞では「老齢や傷病などで働けない、病弱の〜」の意味。
名詞では「働けなくなった人、傷を負った兵士」の意味があります。
「Hôtel des Invalides/オテル・デ・ザンヴァリッド」で、パリのこの施設を指す固有名詞となります。「廃兵院」と訳されます。



見取り図現在は、廃兵院としての規模は大幅に縮小されていますが、 軍事関係の重要な行政機関が集まっています。

大部分は、軍事博物館(Musee de l'Armee)として一般に公開されていて、古代からの戦争の記録、武器や軍事関係の装飾品などが、ビジュアル的な展示方法で紹介されています。

また、金箔のドームが目立つマンサール設計の教会も、ナポレオンの棺があることでよく知られています。


左写真は、施設内にあった案内図です。正面入口を入って、軍事博物館を縦に抜けるように進んでいくと、ドーム教会に辿り着きます。

 



アンヴァリッド見学 レポート

アンヴァリッド庭園施設の門をくぐるとすぐの庭園に、かつての武器らしきものが見られます。敷地の外からも見えています。軍事的な施設であることは一目瞭然です。
 
北側入口正面(北側)入口。
ここでも入口が武器の装飾で飾られています。

アンヴァリッドの施設では、「軍事博物館」と「ドーム教会」が有名ですが、他にも「立体地図博物館」「レジスタンス解放博物館」「ド・ゴール記念館」があります。

フランスと周辺国の歴史(主に戦史)に興味のある人は、必見です。
 
チケット売り場。
自動券売機がありました。

「パリ・ミュージアム・パス」も利用できます。
 

武器展示通路に置かれていた大砲(? )。

武器の名前や種類がよく分からず、いちいち驚いていたのですが、この後も、次から次へと出て来る様々な展示物に圧倒され続けました。

銃や剣なども大量にありました。
甲冑にも様々なパターンがあることを知りました。
「軍事博物館」として、ここは世界で3本の指に入ると言われています。


 
甲冑展示 甲冑展示
 
甲冑展示 甲冑展示
 


ドーム教会 Eglise du Dôme

アンヴァリッドルイ14世が「聖王ルイ(ルイ9世)」 の遺体安置のために建築した教会です。

ルイ14世は、この教会を建築することによって、廃兵院をより完全なものにしようとしました。 金箔と彫刻の施されたバロック式のドームを持つ教会です。 アンヴァリド全体の中では、敷地の奥に位置します。

ドーム教会の設計は、この時代を代表する建築家「マンサール」によるものです。1677年から30年ほどの期間をかけて建設されました。

ドームに使った金箔は約12kg、吹き抜けの高さは107m。宗教建築としても傑作と言われる建物です。

(現在は、アンヴァリッドのドーム教会=ナポレオンの墓所として有名ですが、最初からナポレオンのために建築されたものではありません。)

 
「ルイ9世」(1214-1270)は、フランスの歴史を辿っていると、よく登場する王様です(14世や16世ほどではありませんが…)。 内政を安定させ、長期に渡って国内外の平和に務めた王でした。敬虔なキリスト教徒でもあり、死後には聖人の列に加えられ「聖王ルイ」となります。ブルボン家の王たちの多くが「ルイ」を名乗るのは、ルイ9世に由来すると言われてます。ルイ14世もルイ9世を、王としてのお手本としていました。

 

教会内の丸天井

教会内部に入って、ドーム部分を見上げると、ラ・フォルス作の天井画を観ることができます。聖王ルイ(ルイ9世)が、異教徒と戦って征服した際に使った剣を、キリストに渡す場面です。

*細部まで観たい方は、双眼鏡を持って出かけましょう


参考:アンヴァリッド公式ページ「聖王ルイ礼賛」
(この天井画の拡大図と解説ページです)

 


皇帝ナポレオンの棺

ナポレオンが、幽閉先の南大西洋・セントヘレナ島で亡くなったのは1821年です。
1840年、遺体はフランスに帰還し、国葬が営まれました。

1842年から、ルイ=フィリップ王の命により、建築家「ヴィスコンティ」の設計で、ナポレオンの棺を安置するため、ドーム教会の地下に納骨堂をつくる大規模な工事が行われました。1861年の完成までの間、ナポレオンの遺体は別の礼拝所で安置されていました。

こうして、セーヌ川のほとりでフランス国民に囲まれて眠りたい、というナポレオンの遺志が実現しました。
現在、ナポレオンの棺は、ドームの真下に位置する地下部分に安置されています。


ナポレオンの棺中央に見える赤茶色のものがナポレオンの棺です。
縦約4m、横約2m、高さ約5mという、棺の概念を超える大きなものです。 周辺に写っている観光客と比較すると、その大きさの想像がつくと思います。

中央のナポレオンの棺を囲むように円形に配された柱には、高さ4m以上ある大きな翼を持つ勝利の女神像がいて、ナポレオンの墓を守っています。

また、周囲には、ナポレオンの兄(ジョゼフ)、弟(ジェローム)、息子(ローマ王・ナポレオン2世)ほか、ナポレオンの忠実な部下だった軍人、デュロック将軍とベルトラン将軍が眠っています。

 

ナポレオンの言葉

ナポレオンの遺言

Je désire que mes cendres reposent sur les bords de la Seine, au milieu de ce peuple français que j'ai tant aimé.

(私は、私が深く愛したフランス国民に囲まれて、セーヌ川のほとりで眠りたい)


祭壇の入口の上部に書かれています。

 

 

ナポレオンの棺大理石の床には、棺を取り囲むように、月桂樹の模様が冠状に描かれています。古来から月桂樹の冠は、勝利や栄光の象徴です。

月桂冠の内側には、ナポレオンが勝利した大きな戦いを想起させる名称が書かれています。
・JENA/イエナ ・FRIDLAND/フリートラント
・WAGRAM/ヴァグラム ・MOSCOW/モスクワ
・RIVOLI/リヴォリ ・PYRAMIDES/ピラミッド
・MARENCO/マレンコ
・AUSTERLITZ/オーステルリッツ

 

ナポレオンの棺 緑色花崗岩の台座にケイガンの棺が乗っています。古代から、皇帝の墓には密閉性と硬さに優れたハンガンが用いられていました。

建築家・ヴィスコンティもハンガンを探しました。ナポレオンの棺に適当と思われる原石はロシアで見つかりました。
しかし、ロシア遠征における記憶は人々の間にまだ生々しく残っていて、ロシアから原石を取り寄せることに反対の声もありました。
最終的には、国王がニコラ一世から高額で購入しましたが、実はこの石はハンガンではなくケイガンでした。薄暗いドーム内では、ハンガンのような濃い赤色に見えます。

 

石の棺の中で、一番内側がブリキ、次がマホガニー、続いて、鉛が2重、黒檀、一番外側がケイガンとなっていています。そして全体が、ヴォージュ地方産の花崗岩の土台の上に置かれています。

 
アンヴァリッド棺の周囲を囲む回廊の壁(女神の後ろに見える壁)には、彫刻家・シマールによる10点の彫刻が施されています。これらはナポレオンの偉業を讃えるものです。

その偉業とは、国内平和、中央集権国家、レジオン・ドヌール勲章の制定、コンコルダート(政教条約)、 コンセイユ・デタの創設、戸籍制度の整備、民法典編纂、商業法典編纂、帝国大学、会計監査院、大規模土木工事実施、です。

ヨーロッパを征服した人物として、戦術家として語られることが多いナポレオンですが、後世に残した功績は軍事的な面ばかりでなく、広範囲に渡っていることが分かります。


この墓所を見ることで、フランス人がナポレオンに対してどんな思いを抱いているかを、かいま見ることができます。また、アンヴァリッド全体として、軍事、政治、宗教、芸術、政治など、フランスに関する多くの面を知ることができる施設といえるでしょう。

パリで訪れるべき観光名所は数多くありますが、「アンヴァリッド」も間違いなくそのひとつです。
 

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