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ギュスターヴ・モロー 「テスピウスの娘たち」


ギュスターヴ・モローの作品には、神話をテーマにしたものが多くあります。この作品「テスピウスの娘たち」は、 ギリシャ神話の英雄ヘラクレスが主人公です。

ヘラクレスには「12の功業」と言われる彼が成し遂げた12コの難事業があります。
難事業とは一体どんなものか。人喰い馬を捕らえたり、地獄の番犬を生け捕りにしたり、川の流れを無理矢理変えて牛小屋の掃除をしたり、と内容はバラエティに富んでいます。

その12の功績のひとつとして、ヘラクレスがテスピウス王の領地を荒らしていた巨大なライオンを退治したエピソードがあります。テスピウス王はそのお礼として、王の娘50人と一晩で交わる機会をヘラクレスに与えました。ヘラクレスは、それぞれの女性との間に子を設けました。


テスピウスの娘たち



「テスピウスの娘たち」に描かれているこの場面は、「猥褻だから」という理由で、それまで絵画に取り上げられることが少なかったテーマだそうです。しかしモローはこれを、生殖に対する神秘として捕らえ、創造への賛歌として描きました。


テスピウスの娘たち中央のニ本の柱には太陽と月が冠されています。太陽と月、これはすなわち男性と女性の象徴であると考えられています。他にも、 豊穣を暗示するかのように異様に生い茂った植物、複数の乳房を持つ女神像、など画面上には性的な含みを現わすアイテムが多数存在しています。


画面全体に目を移すと、まるで混み合った大浴場のように裸の女性がたくさんいて、順番待ち(?)しています。そして、太陽と月の柱の間に座ったヘラクレスは、今から臨む行為に向けて思索に耽っているような、なんとも複雑な表情を浮かべています。

 

それにしても…。
ライオン退治のご褒美として、一晩で50人の娘と交わる機会を与えられるって、どうなのよ?

一体どんな心境なのか、私はしばしこの大きな絵の前で想像力を働かせてみました。しかしながら、女性に生まれたせいか、私にはうまく想像が出来ません。そこで、ご褒美として一晩で50人の「男性」と交わる機会を与えられる、と置き換えて考えてみました。

そんなの、まっぴらごめんです。全然嬉しくないのでご褒美になりません。
ヘラクレスの表情を見ても嬉しそうには見えません。これは、ご褒美どころか苦行ではないでしょうか。


よく考えてみたところ、どうやら50人の娘と交わること事体がご褒美なのではなく、自分の子孫を50人残す機会を与えられた点がご褒美らしいと気がつきました。このヘラクレスの絵は、「これから50人にお相手してもらうぜ~♪」という浮かれた場面ではなく、「今から50人との間に子孫を残すという偉大な事業に立ち向かうのだ!」という真剣勝負の場面なのです。



性行為そのものではなく、その結果にある生殖がご褒美だとすると、「一晩で50人」はやはり男性限定のご褒美ということになるでしょう。なぜなら、女性は一晩に50人の男性と交わっても身籠ることができるのは一人の子供だけだからです。しかも大前提として、その日が排卵日前後の妊娠可能な時期でなければ、50人としようが100人としようが、妊娠することはありません。一方男性の場合は、排卵日の女性を集めることさえ出来れば、一晩で複数の子孫を残すことが理論上は可能です。


そもそも女性にとって、多数の自分の子孫を残すことがご褒美になるか?という疑問もあります。あくまでも一般論ですが、男性が「自分の子孫を残したい」と考えるのに対し、女性は「愛する人の子供が欲しい」や「この人の子供なら生みたい」という発想はあっても、「自分の子孫を多く残したい」という意識は男性よりも薄いような気がします。

自分の遺伝子を蒔くことができる男性の性に対し、受けとめる性を持つ女性は、より優秀な遺伝子を持つ男性の子孫を宿したいと望みます。それが結局は、自分なりの基準を満たした相手、言い換えれば、好きな相手とだけ交わりたいという意識につながっているのだと思うのです。

したがって、女性に対しては「50人の男性と交わる機会を与えます。」というご褒美は不適切であり、「50人の男性の中で一番気に入った相手と交わる機会を与えます。」とするべきなのです。



・・・話が広がり過ぎました。何を書いているのやら。
この辺でやめておきます。

一晩で50人っていうのがどうしても引っ掛かっちゃって。
一人あたり何分だろう?とか考えちゃた、思わず。



モローのサイン「テスピウスの娘たち」
ギュスターヴ・モロー/Gustave Moreau

1853年(1883年に加筆) 
258×255cm カンヴァスに油彩  
ギュスターヴ・モロー美術館所蔵

*関連記事:ギュスターヴ・モロー美術館

 

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