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テルトル広場で似顔絵を
サクレクール前の石段を登り切ったら左手に入り、一瞬 人の波が途切れた緩い坂道を抜けると、再び観光客でにぎわう場所に出る。テルトル広場だ。
描いた絵を売っている絵描きさん達と、通りを行く人々の似顔絵を描く絵描きさん達がいて、いかにも芸術家が集う場所 という空気に満ちている。
広場を囲うようにカフェが並んでいて、通りに面した席で休憩するのも楽しい。
「パリと言えばテルトル広場」というくらいに、私はここが気に入っている。
以前から私は、一度ここで似顔絵を描いてもらいたいものだ、と思っていた。
見本として掲げられている絵を見ると、皆それぞれ違うタッチで、どの人の作品もいいな~と思う。
ポンピドゥーセンター前の広場にいる絵描きさんたちの作品を見たときは、イラスト風、 マンガ風のタッチの方が多いと思ったのだが、テルトル広場で場所を持っている皆さんは、より絵画的な画風の方が多いような気がする。
誰に描いてもらっても多分、素敵な絵に仕上げてくれそうだと思ったので、より話しやすそうな人にお願いすることにした。「おねーさーん、10分で描けるよ~! 」などと怪しげな日本語で話しかけてくる人は、あまりイメージがよくないので、お願いしたいと思えない。
喧噪の中で集中して絵を描いている絵描きさんの真剣な姿を見ながら、その間をすり抜けるように、広場を何度もぐるぐる回った。
何周もしながら迷った結果、最終的に描いてもらうことに決めたのは、ニコニコしていて優しそうな50代くらいの男性の画家・ミシェルさんである。午後には おそらく一番長く日のあたる、明るい良い場所に座っている。
描いてもらっていると、通りすぎる人たちが、描きかけの絵と私の顔を見比べていく。
お客さん待ちの絵描きさんと違って、描いている途中の絵描きさんには呼び込まれることがないためか、みんなゆっくり眺めていく。
そして、連れの人同士で何か感想を言いあっている。
何を言ってるのか非常に気になったが、すまして座っていた。
完成までにかかった時間は、15分くらいだった。
絵の仕上がりは……あまり似てないように思う。
これはどう見ても、西洋人の顔である。これほど面長ではないと思うし。
だが、実物より美人に描こうとしてくれた気持ちは、伝わってきた。
そして何より、モデルになって絵を描いてもらうという経験は、想像以上に楽しくて、深く印象に残った。
あんまり似てないかな、とは思ったが、満足した。
絵を描いてもらっている間中、広場のどこかから、バイオリンの優美な音色が聞こえていた。
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