ルーヴル美術館訪問の際は、「あらかじめ見たい作品を選んでから出かけよう」とはよく言われることです。しかし、「これから初めて行くのに、見たい作品は何かと言われても、選びようがない」と思う方も多いと思います。
実は、旅行関係者のあいだでは、ルーヴル見学で定番とされる作品は、ある程度決まっています。
このページでは、そういった観光的な発想の定番に加え、美術史的な観点からも、「ルーヴルに行くならこれは見た方がいい!」とおすすめしたい作品をプラスしてご紹介します。ただし、極端にマニアックなものではなく、どれも世界的に有名で、一般的に日本人にも馴染みのあるものです。
このページでの解説は最小限に留めてあります。 もっと詳しく知りたい方は、ルーヴル美術館公式HPの解説ページへリンクを貼っておくので、そちらをご覧下さい(解説ページがない作品もあります)。
当サイト内にも別途作成した作品解説のページがあるものには、リンクしておきます。
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ルーヴルに行ったら、まずはドゥノン翼へ!
モナリザのある「ドゥノン翼」には、有名で人気のある作品が集中しています。ルーヴルで過ごす時間が限られている人は、「ドゥノン翼2階を中心」に見学するのがおすすめです。
ドゥノン翼2階は、「カナの婚礼」や「ナポレオン1世の戴冠式」をはじめ、大作が多いエリアでもあります。作品の大きさは、本やインターネットでは体感できません。ぜひ、本物の迫力を味わってきてください!!
帰国後の みやげ話で「ルーヴル美術館にも、もちろん行ってきたよ!」と誰かに報告はしたい、でも、実は美術館にはぜんぜん興味ない。…そんなあなたも、ドゥノン翼に行ってください。「モナリザ」「ミロのヴィーナス」「サモトラケのニケ」「ナポレオン1世の戴冠式」、この辺りが 必見ポイントです。うまく行けば、1時間程度でまわれます(入場までの時間は除く)。
岩窟の聖母
レオナルドの謎多き祭壇画。バージョン違いがロンドン・ナショナルギャラリーに有り。聖母、天使、洗礼者ヨハネ、イエスの手の表情に注目。
聖母子と聖アンナ
同じくレオナルドの作品。マリアとイエス、マリアの母アンナ。マリアはアンナの膝の上に乗るという奇妙な構図。近年修復され明るい色彩に。
聖母子と聖ヨハネ
別名「美しき女庭師」ラファエロ作。聖書に手を伸ばしているのがイエス。十字架を持っているのがヨハネ。優しい表現が心地良い。
グランド・オダリスク
アングル作。オリエント風は当時の流行り。女性の背中は、アングルの好んだ題材。背中と腕が長すぎると批判された。
美術史全体の中でとりわけ重要視されるのが、イタリア・ルネサンスの3大巨匠「レオナルド・ダ・ヴィンチ」「ミケランジェロ」「ラファエロ」です。この3人のうちレオナルドの作品だけは、代表作と言われるものが複数ルーヴルに所蔵されています。
これは、フランソワ1世という王様が晩年のレオナルドをフランスへ呼び寄せたため。ミケランジェロやラファエロの作品は、パリには少しだけしかありません(ローマやフィレンツェに行けばたくさんあるのですが…)。ルーヴル所蔵の彼らの作品、ぜひチェックしてください。
リシュリュー翼は空いている…でも実はかなり面白い!
ナポレオン3世の居室
1980年代までは大蔵省として使われていた部分。ナポレオン3世の趣味を反映したネオ・バロック様式。あまりにも豪華すぎて、もう笑うしかないって感じです。
シュジュの鷲
サン・ドニの修道院で使われた儀式用の坪。ルーヴルは絵画や彫刻だけでなく工芸品も充実。このエリアには10〜12世紀頃の品が多数。
ハムラビ法典
「目には目を歯には歯を」。法典と言うから紙かと思ったら石だった。そりゃそうだ、紀元前1760年のものだもの。古っ!でも周辺にはもっと古いもの多数。
有翼人面牡牛像
イラクの宮殿跡から出土。宮殿のお守り。頭が人間、体は牡牛、胸はライオン、鷲の翼、という怪獣。古代オリエントコーナー、濃いものがあり過ぎ…。
ガブリエル・デストレとその妹
右がアンリ4世の愛人ガブリエル、左がその妹。妹が姉の乳首をつまんでいるのは、王子の懐妊を表す。作者不詳(フォンテーヌブロー派の誰か)。
ピュジェの中庭/マルリーの中庭
自然採光の屋根を通して柔らかい日差しが差し込む中庭に、彫刻作品がゆったりと並べられている。作品群もさることながら、空間としても心地良い。
リシュリュー翼の1階では、オリエント、メソポタミアといった古代の美術品、2階では、中世〜ルネサンス〜19世紀の工芸品、3階ではフランドル、オランダなどの絵画を鑑賞できます。
モナリザなどを見た後で移動するなら、一旦ナポレオンホールに戻って、改めてリシュリュー翼入口から入りなおすのが良いと思います。興味深いものがたくさんあるエリアです。しかも、それほど混雑していないことが多く、ゆっくり鑑賞できます。
シュリー翼にも見たいものがいろいろ…
ルイ14世
リゴー作。世界史の教科書でおなじみの太陽王。当時の王族の衣装をじっくり見よう。王様自身もお気に入りだった肖像画。立派な額にも注目。王は63歳!
トルコ風呂
アングル晩年(82歳)の作品。やはり背中が好きらしい。丸いキャンバスは覗き見的効果を狙ったもの。
書記座像
上官の口述を書き取る書記。紀元前2600年頃。とても古いのにきれい。古代エジプトもかなり充実しているのでエジプト好きの人はぜひ!
ショパンの肖像
ショパンの解説文などでよく使われる絵。これドラクロワ(民衆を導く〜の作者)の作品なんですよ!シュリー翼のドラクロワ部屋は要チェックです!
ピエロ
ヴァトー作。カフェの看板画として描かれた。哀愁漂うピエロの表情が印象的。長い腕と奇妙な衣装。背景には笑う喜劇役者と道化の象徴ロバ。
ビジェ・ルブランとその娘
マリー・アントワネットの肖像画を多く残したルブランの自画像。当時の女流画家としては異例の活躍だった。アイドルのブロマイド的な可愛らしさ。
プシュケとアモル
神話の一場面。人気作品です。視線が交わっていないのは、プシュケ(王女)には、アモル(キューピッド)が見えていないから。
古代エジプトの出土品を好きな人は多いと思います。数が多いので、お好きな方はじっくりと。
3階の近代フランス絵画は、知らないようで、見てみると実は知っていた、という作品がけっこうあるかも。日本人にとって、近代フランス絵画って意外と浸透しているものなんだな、と感じます。
ダヴィッド、アングル、ドラクロワ、ビジェ・ルブランなどは、いずれも、最初にご紹介したドノゥン翼2階に超有名作品があるのですが、シュリー翼にも作品群が展示されています。近代フランス絵画(ロココ、新古典主義、ロマン主義あたり)が好きな人は、両方見に行きましょう。
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執筆:内田ユミ