ミロのヴィーナス(Vénus de Milo)
ギリシア神話におけるアフロディーテ(愛と美の女神)の像です。「モナリザ」と並んで、ルーヴル美術館所蔵の代表作として知られています。
教科書などでも見知っているせいか、多くの日本人にとっても馴染みのある作品です。
近年展示室の改修があり、よりゆったりとしたスペースで鑑賞できるようになったという「ミロのヴィーナス」ですが、この作品の周りにも常に大勢の人が群がっていますので、「ゆったり鑑賞」とまでは いかないかもしれません。
ミロのヴィーナスは、1820年、エーゲ海のミロス島で発見されました。
発見当初は、分断された状態だったそうです。「ミロ」は発見地ミロス島のラテン系名称で、「ヴィーナス」はアプロディーテのラテン語名 ウェヌス(Venus)の英語読みです。「ミロのヴィーナス」は発見場所にちなんだ通称であり、正式名称は「アフロディーテ」です。
高さは203cm。材質は大理石。発見された時に一緒に出て来た台座に記述があったことから、アンティオキアのアレクサンドロス(Alexandros of Antioch) によって作成されたと考えられています。
発見者の農夫ヨルゴスは、最初ヴィーナス像を隠していましたが、トルコ人の官吏に発見され没収されました。その後、フランス海軍提督ジュール・デュモン・デュルヴィルが紆余曲折の末、トルコ政府から買い上げます。そして修復された後に、ルイ18世に献上されました。ルイ18世はルーヴル美術館に寄贈します。
現在もルーヴルの展示室で、毎日 大勢の見学者の視線を集めています。
「ミロのヴィーナス」見学レポ
「ミロのヴィーナス / Aphrodite / Vénus de Milo」紀元前130年頃
<シュリー翼・2階/展示室12>
まず掲載するこの写真は、改装前・2005年に撮影した、旧展示室の時です。
「展示室」というより「通路」に置かれている感じですね。防護のガラスケースに入っているわけでもないし、こんな扱いでいいのかなぁ…と思いました。
ヴィーナスのプロポーションは、私たちが一般的に、芸能人やモデルさんに求める美しさの基準と比べると、やや逞しい気がします。「太っている」のとはまた違っていて、筋肉質な印象です。
しかしながら、ヴィーナスの上半身と下半身のバランスは、自然界のバランスや美の基準である「黄金比」(1:1.61)を有しているのだとか。
これが美しさの象徴と評される理由のひとつにもなっているそうです。
大勢の人で混雑していますが、「モナリザ」と違って、作品に近づいて周囲をぐるっとまわることが出来ます。ヴィーナスの後ろ姿も見られます。
お尻の上の方が見えてますね。
腰に巻いた布が今にも落ちそうで、はらはらします。
失われた腕がどういうポーズをとっていたかということが、長年研究されています。しかし結論は出ておらず、リンゴを持っていたのではないか、とする説が有力です。
私は、布が落ちないように片手は腰を押さえてたんじゃないかなぁ? なんて思いながら 鑑賞しました。
表情は、きりっとして、クールな感じです。
顔だけ見ると、男性のようにも見えると思います。
胸があるので絶対に女性なのでしょうが、首の太さや筋肉質なお腹のあたりも男性的だと感じました。
腹筋、割れてるし…。
2008年9月訪問時に撮影。
改修が終了し、展示室が設けられていました。
「ミロのヴィーナス部屋」です。
以前よりは広いスペースになったようです。
確かに、比べると多少はゆったりしたのかな…。
でも雰囲気としては、基本的に変わっていない感じでした。相変わらず、ケースには入ってないです。