「ペール・ラシェーズ墓地」は、広さは43ヘクタールという、パリで最大の墓地です。各界の有名人が多く眠っています。日本の墓地とはだいぶ雰囲気が違うせいか、あまりお墓にいるという感じがしません。
「ペール・ラシェーズ」とは、神父さんの名前です。もともとは、17世紀に作られたジェズイット派の僧院が造られた土地で、ルイ14世の聴聞告解師(懺悔を聞く相手)であったラシェーズ神父(ペール)の名が、墓地の名称として残りました。
敷地が大きいので、利用出来る駅は複数あります。正面入口に最も近いのが、メトロ2号線の「フィリップ・オーギュスト駅」。坂を上らずに済むのが、3号線の「ガンベッタ駅」。ガンベッタ駅寄りの入口から入ると「
オスカー・ワイルド」のお墓に近いので、利用者が多いそうです。
ペールラシェーズ墓地周辺のグーグルマップ
私は外出先から移動したため、2、3号線の「ペール・ラシェーズ駅」を利用しました。
入ってみて驚いたのは、予想をはるかに上回る広さです。43ヘクタールと聞いても、あまりピンとこなかったのですが、実際に歩いてみるとその広さを実感します。市内と同じように、通りには名前があり、各エリアに番地が振ってありました。
私には、ぜひ訪れたい人のお墓がいくつかありました。
「墓地」ということで、観光客が行くような場所ではないのではないか?と思い、これまで行かずにいた場所なのですが、行ってみて良かったと思います。ほぼ端から端まで歩いて、たっぷり1時間半以上滞在しました。
実際に訪れてみると、 どのお墓もその人の生前の活躍ぶりや性格や雰囲気といったものまで感じ取れるような、個性が表現されたお墓でした。お墓を見ることで、彼らが実際に生きていたことを事実として受け止めることができ、パリに縁のある有名人を身近に感じたひと時となりました。
← これは、入口で買った地図です。とても広いので、地図は必ず買ったほうが良いと思います。
地図の裏面には簡単な案内文があって、興味深いことも載っています。それによると……(以下引用)
「歴史上パリで亡くなった最初の日本人とされる人の日本式の墓石があります。その人は、佐賀出身の野中元右衛門といい、1867年のパリ万博に出展する佐賀藩の派遣団の一員として随行して来ました。
しかし元右衛門は、不幸にしてパリ到着のその日に急死してしまったのです。せっかくパリに着いて、パリを見ずに死んでしまった不運な元右衛門に、あなたも花を捧げてはいかがでしょう。」
地図のインデックスにも「Nonaka Motoemon」で載っているが、残念ながら私は今回、元右衛門さんのお墓を見つけることはできませんでした。
眠っている有名人
アポリネール ( 詩人)、イヴ・モンタン(俳優)、エディット・ピアフ(歌手)オスカー・ワイルド(作家)、コロー(画家)、サラ・ベルナール(女優)、ショパン(作曲家)、スーラ(画家)、ダヴィッド(画家)、アングル(画家)、ドラクロワ(画家)、バルザック(作家)、ピサロ(画家)、ビゼー(作曲家)、プルースト(作家)、マリア・カラス(歌手)、マリー・ローランサン(画家)、モディリアーニ(画家)、モリエール(作家)、ロッシーニ(作曲家)
などなど。あまりにも大勢いらっしゃるので、全部は載せられません!
有名人のお墓の位置はサイトで確認できます。
https://pere-lachaise.com/tombes-et-celebrites-au-pere-lachaise/
ペールラシェーズ墓地 見学レポ
ペール・ラシェーズ駅を降りると、すぐ目の前に墓地を囲う塀が見えます。
長く続く塀が、敷地の広さを物語っています。
入口には男性がいて、お墓の中の地図(見取り図/2ユーロ)やポストカード(1ユーロ)を売っていました。
ガイドブック等にもよく載っているせいか、お墓といえども、かなり観光地化された雰囲気です。
敷地の中に入ったところ。
この辺りのお墓は、小さな家のような形をしています。奥へと進んでいくと、違った形のお墓も出てきます。
ジェリコーのお墓
遠くから見たとき「パレットみたいなものを持ってるから、きっと画家のお墓に違いない!」と思いました。
近づいてみると予想通り、ロマン主義の画家・ジェリコーのお墓でした。お墓にまで、代表作「メデューズ号の筏」が刻まれている!すごい…。
ジェリコーが この作品をいかに大事に思っていたか、かいま見えた気がしました。
ショパンのお墓
白い墓石に横顔が刻まれた ショパンのお墓は、なんだかとてもショパンらしいお墓でした。繊細で華やかな感じ。こんなにもたくさんの花に囲まれています。
この周辺まで行くと、急に人が多くなったので、すぐにここがショパンのお墓だと分かりました。供えられている花も、最も多かったのではないかと思います。
アングルのお墓
近代絵画の父、発見!
きっと大きなお墓に違いないと思って探していたのですが、それほどでも無かったかも…。しかも、ちょっと分かりにくい場所にあったし。
でも堂々としたお墓でした、大先生にふさわしく。
オスカー・ワイルドのお墓
個性的な形をしたお墓をいろいろ見たけれど、これは群を抜いていました。
近づいてみると ↓
お墓にたくさんのキスマークがついています。口紅で、オスカー大好きとか書いてある。
どうしてこういうことになっているのでしょうか……。
口紅の油分って、けっこう落ちないものなのですね。
モディリアーニのお墓
モディリアーニのお墓も、とても分かりにくい場所にあって、周辺をぐるぐるまわってしまいました。
たまたま近くを通りかかった係員の男性が「マダム、モディリアーニをお探しですか?」と声を掛けて、案内してくれました。案内してもらわなかったら、見つけられなかったかも…。感謝!
お花と一緒に、絵筆が供えられていました。
エディット・ピアフのお墓
優雅で美しいお墓でした。よく日の当たる場所にありました。
そのつもりで見ているせいかもしれませんが、不思議なもので、とても女性らしいお墓だと感じました。
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