オペラ座(オペラ・ガルニエ)

パリには「オペラ・ガルニエ」(1875年完成)と「オペラ・バスティーユ」(1989年完成)の2つのオペラ座があります。このページでは、1875年に完成した古い方のオペラ座、「オペラ・ガルニエ」(正式名称:「ガルニエ宮」/Palais Garnier)について紹介します。

19世紀後半、ナポレオン3世および、セーヌ県知事オスマンによる大規模なパリ改造計画の一連の流れの中で、新オペラ座建設計画が決まりました。

設計は公募によって集められましたが、171もの応募作の中で一等は決められず、佳作が6件という結果になりました。最終的に、そのうちの1つ「シャルル・ガルニエ」の案が採択され、1862年に着工、1875年に完成します。

「オペラ・バスティーユ」の誕生後、ガルニエではバレエなどの小品が中心に上演されるようになりました。「老朽化したこと」以外に、「規模が小さいこと」も理由に挙げられていますが、完成当時には最大規模を誇る劇場でした。当時の最新の素材であった鉄を多用したことで、それまでにはなかった巨大な空間の構築が可能になりました。

建築技術の水準の高さもさることながら、ガルニエ宮の一番の特徴は、豪華絢爛な装飾にあります。建築様式名で言うなら「ネオ・バロック」。バロックが大好きなナポレオン3世の好みを反映させたと言われています。

「こういう様式だった」と言ってしまえばそれまでですが、しかしそれでもあまりにも華麗な装飾は、一体どこからこんなアイデアが浮かんでくるのか、と不思議に思ってしまうほどです。

公募で選ばれたときのガルニエは36歳でした。

* * * * *

昼の講演がない日には、上演を観ない人でもオペラ座の建物内部を見学出来ます。
(入場料:9ユーロ/大階段、ロビー、ホール等は毎日10:00~16:30まで見学可能。ただし、ホールはリハーサルなどで見学出来ない場合もあり。)

オペラやバレエを観る習慣がない人の場合、パリに行っても、訪問先としてオペラ座は 初めから対象外にしてしまいがちだと思いますが、舞台を観ないとしても、色々な楽しみ方ができる場所なので、もし時間が許すなら見学してみることをおすすめします。

そもそもパリを旅行先として選ぶ人の場合、このような建築物に入場したときに感激できるタイプである確率が高いと思うからです。

オペラ・ガルニエ/Opéra Garnier

最寄り駅 メトロ3、7、8号線 Opéra駅
オープン 10:00〜17:00
休み   1/1  5/1  昼公演のある日
URL   https://www.operadeparis.fr/

この人が、シャルル・ガルニエ。オペラ・ガルニエを設計した人物です。 都市を代表する建築物に自分の名前がつくって、どんな気分だろう。

ちなみにこのガルニエ像は、当時を代表する彫刻家 ジャン=バティスト・カルポーの作品。カルポーは、完成当時に建物正面を飾っていた彫刻「ダンス」も手がけています。(現在「ダンス」はオルセー美術館に収蔵。)
ルーヴルやオルセー、プティ・パレなど、カルポーの作品は、パリのあちらこちらで見ることができます。

大階段(中央階段)と呼ばれる部分です。どこから見ても、ため息がでるような、複雑で凝った装飾。階段の手すりもたくさんの柱も、ひとつひとつの細部にまで美しさが追求されています。この大階段だけでも見る価値有り!

このあたりだけでも、観ていて飽きないので、観光客で賑わっています。

グラン・ホワイエ

ホワイエとは、幕間を過ごす場所。ロビーと言っても良いのかも。出会いや社交の場です。

現在も、舞踏会や企業のイベントなどに使用されることがあるのだとか。このようなところでオペラの余韻に浸りながら、ステキな殿方と談笑してみたいものです。

↑この写真、自分で撮ったのに、ヴェルサイユ宮殿? と一瞬間違えそうになったりもします。「これは 鏡の間だよ」と言われたら、納得してしまいそう。
広さではかなわないけれど、豪華絢爛具合としては、ヴェルサイユ宮殿より、上回ってるのではないかと思います。

この日は比較的空いていたので、観光客が途切れるのを待って、撮影しました。

これは中央階段下の地下のホール。至るところに鏡があります。
「オペラ座の怪人」の作品中では、怪人はここより更に下の地下水路に住んでいるという設定です (実際に地下に防火水槽あり。)
この怪しげな雰囲気。怪人はどこかな、と探したくなります。

ボックス席入口と回廊。ここではロープが張られていますが、茶色の扉を開けると客席に入ることができます。
緩いカーブを描く壁に沿って、等間隔に音楽家や作家など芸術家達の彫像が並んでいます。

見学用に解放されているボックス席は、後方両サイドに2カ所あって、舞台や客席を見ることができます。
この日はリハーサルの様子も見学できました。舞台と客席の間に一段下がって見えるのがオーケストラ席。

見上げると、シャガール作の天井画「夢の花束」があります。オペラ・ガルニエ見学のメインと言って良いかもしれません。
重さ約7トンというシャンデリアも必見です!

パリ国立オペラ劇場の天井に設置する絵、それも二重の円の形という厳しい制約が、シャガールが本来持つ特徴を生かす結果に繋がっていると思います。

図書室。ずら〜っと並ぶたくさんの本は、過去の台本。
ネットがかかっていて、本を手に取ることはできません。

上下を逆さまにしても分からない 騙し絵のような光景。ここはバルコニーです。まったく、どこを歩いてもこんな感じ。
優雅で、重厚で、どこか退廃的な雰囲気。冷たいはずの大理石に、ほんのりとした あたたかみを感じます。

バロック建築って、本当に優雅な気持ちになります。
ナポレオン3世の気持ちが、ちょっとだけ分かるような気もしたりして…。

バルコニーから見た景色。
建物の正面に面する広場が見えます。
バス降り場や、メトロの入り口、真っすぐに伸びるオペラ通り。静かな場所から、街の喧噪を見下ろします。

裏手にあたるオスマン通り側から見たオペラ座。ギャラリー・ラファイエット(デパート)の屋上から撮った写真です。両サイドに垂れ幕がかかっているのが見えます。

外から見ても、ガルニエ宮が複雑な形状をした建物であることが分かります。どこから見てもとても凝った造りで、こんな建築物を設計する人の頭の中はどうなっているのか…と思いました。

面から入って右手側に、ミュージアム・ショップのようなスペースがあって、ダンサーの写真集やオペラに関する書籍、DVD、ポストカード等の関連グッズを販売しています。

おすすめのお土産は、ハチミツです。ガルニエの屋上にはハチの巣箱が設置されていて、ミツバチが住んでいます。周辺の公園や並木から蜜を集めてくるのだとか。銀座のデパートの屋上でもハチを飼っていて、皇居周辺から集めて来たハチミツを売っていることを思い出しました。

「オペラ座のハチミツ」(Le Miel Recolte sur les toits de l’Opera de Paris)は、フォション(Fauchon)社によって商品化されています。最近は蜜が採れなくなってきているらしく、売って無いこともある(売り切れ?)との情報もありますが、私が行ったときにはショーケースの中にいくつか並んでいました。
スタッフに「ハチミツください」と言ったら、ケース内に並んでいるものではなく、奥から出してきたものを販売してくれました。(ケースに見あたらない場合も、もしかしたら どこかに在庫があって、尋ねてみたら 出てくるかもしれません。 )

瓶詰めなので、破損しないように工夫して、慎重に持ち帰りましょう。
(価格:14.5ユーロ/2008年9月現在)

舞台や客席、大階段、ホワイエなど、建築そのものが素晴らしいのはもちろんなのですが、オペラやバレエに関する絵画や彫刻、衣装などの展示も充実しています。

実は私は、オペラにもバレエにもあまり馴染みがないのですが、それでも、私なりに関心を持って見学することができました。オペラ鑑賞が趣味の方や、バレエを習っている方などが見たら、さぞかし楽しめると思います。

この写真は、深く考えずに「円形のキャンバスか〜、珍しいな。」と思って撮ってきたもの。

今になって 改めてよく見ると、円の中央には「PLAFOND DE L’OPERA/オペラ座の天井」「J . E . LENEPNEU」の文字があります。
(”plafond”は「天井」の意味ですが「天井画」のことも指すようです。)

どうやらこれは、シャガールの天井画が設置される以前に、オペラ座の天井にあったルヌヴ(Jules Eugène Lenepveu)の天井画らしい。オルセー美術館に複製があると聞いていたのだが、ここにもあったということだろうか。これも複製? サイズが小さすぎると思うのだけど。中央の小さい円の部分なのかなぁ?? 相当調べたのですが、分かりません。どなたかご存知の方 いらっしゃいましたら教えてください!

きっと近くに解説があったのではないかと思います。それも撮ってくれば良かった。この特徴的な二重の円形を見た瞬間に「これは天井画だ!」って、どうして気が付かなかったんだろう? も〜私のバカ、バカ!