パーフェクトプログラム内容について
本講座を構成する大きな柱は
「主題(テーマ)」と「表現方法」です。
つまり、「何が」「どう」描かれているかということ。
これらは絵画の見方の基本となります。
西洋美術史パーフェクトプログラムでは、
全10回で、この内容について、段階的にお話していきます。
知識の体系が、おおよそ出来上がるころには、
ご自身の絵の好みにも、はっきりとした自覚ができ、
絵画鑑賞を、より深いレベルで
楽しむことができるようになります。
以下に、全10回の各回ごと内容をご案内します。
(1)ギリシア神話と絵画のヒミツ
西洋の文明における重要テーマのひとつ「ギリシア神話」の成り立ちと、絵画の関係について。特異な発想と、次々に出て来るカタカナの壁で挫折しがちな「ギリシア神話」について、基礎から解説。西洋の絵画はもちろん、現代日本の日常の中にも、どれほど身近に浸透しているかをお伝えします。
1回目(ギリシア神話)と2回目(キリスト教)は、世界史のおさらいの要素も強いですが、あくまで、「絵画鑑賞をより楽しむ」という視点から講義をすすめていきます。
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◎西洋の文化におけるギリシア神話の位置づけ ◎ ギリシア文明の中のギリシア文化 ◎ ギリシア美術の特徴 ◎ ギリシア神話の成り立ち ◎ ギリシア神話の神々の特徴 ◎ まず知っておきたいの主な神々「オリンポス12神」とは? ◎ ギリシア神話とローマ神話の関係 ◎ ギリシア神話における「英雄」とは? ◎ 絵画作品によく登場するエピソード ◎ 神話がテーマの超有名作品 他
(2)キリスト教と絵画のヒミツ
信者の方は別として、ほとんどの日本人は、「キリスト教」というものの存在は知っているものの、その中身までは知りません。なぜなら、教わる機会がないから・・。
西洋の絵画は、長い間、キリスト教の教義を伝える役目をになっていますので、中身を知ることが不可欠です。キリスト教がヨーロッパ世界で広まる過程と絵画との密接な関係をお伝えします。
難しいと思われがちなキリスト教絵画も、鑑賞のポイントをつかめば、違って見えてきます。
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◎ キリスト教と美術の関係 ◎ 聖書とは? ◎ 旧約聖書と新約聖書はどう違う? ◎ イエス・キリストを象徴的に示すもの ◎ キリスト教の起こりと広まり ◎ ローマ分裂後の図像表現の変化 ◎カトリック/プロテスタント/東方正教会 ◎ 初期キリスト教絵画に見られる「ぎこちなさ」の理由 ◎ 絵画によく登場する主な聖人(聖人とは?) ◎ 天使の階級制度 ◎ 大天使が登場するストーリー ◎ 絵画によく描かれる聖書のエピソード 他
(3)美術史の変遷 その1(古代〜ルネサンス)
第3回目と4回目の2度にわたって、西洋美術史の古代から近代までの流れを、俯瞰します。大きく全体像をとらえることで、その後の各部分の特徴や、発生と衰退の必然性を理解しやすくなります。まずは、古代からルネサンスの後半まで。ルネサンスの中心思想も扱います。この回から、「西洋美術史」講座らしさが強まっていきます。
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◎古代ギリシア/ローマ/エトルリア/初期キリスト教/中世/ルネサンスまでの各時代の特徴と流れ ◎ローマ世界からキリスト教世界へ ◎ 描かせる人と描く人の関係 ◎ ルネサンス(文芸復興)とは何か ◎ ルネサンス絵画と思想の深い関係(新プラトン主義) ◎ ルネサンス三大巨匠 他
(4)美術史の変遷 その2(バロック・ロココ・近代絵画)
ルネサンスの終焉から、バロック、ロココ、近代(印象派)の手前までの流れを追っていきます。芸術様式も多様化していくところで。「〜〜主義」や「〜〜派」といった用語もたくさん出て来ますが、決して、美術史の「用語を覚えること」が目的ではありません! それぞれの特徴や変化の流れを通して、社会の中で、絵画が果たした役割や、人々の価値観の変化を感じとってください。
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◎ ルネサンスとバロックの狭間:マニエリスム ◎ 光と闇の魔術師たち ◎ バロックの巨匠達の共通点と相違点 ◎ 各地域の違い ◎ バロックからロココへの変化 ◎ フランスアカデミーの成立 ◎ アカデミーの働き・価値観と影響力 ◎古典主義/写実主義/バルビゾン派/新古典主義/ロマン主義/印象主義 ◎ 18世紀後半から近代までの加速する展開 他
(5)絵画の謎を解く アトリビュート
絵画には、決まりごと(ルール)があります。そのルールを知っているかいないかで、作品から受け取れる情報に大きな違いが出て来ます。この回では、「アトリビュート」という、神さまや英雄、聖人や天使などを区別するために描かれるアイテムをご紹介します。また、西洋美術に特有の、見えないものを可視化するための手法も扱います。
謎解きのような要素が強く、受講済みの方にアンケートをお願いすると、「最も印象に残った回」としてよく挙げていただくのがこの回です。
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◎ アトリビュートとは何か ◎ アトリビュートの意義と役割 ◎ 発生の過程 ◎ 主な事例 ◎ 似て異なる「シンボル」 ◎ 同じアイテムが違う事象を表す例(バラ、鳩など) ◎ 「擬人像」の概念 ◎ アトリビュートの例外 ◎ アトリビュートを疑う ◎ 「寓意画」とは? ◎ 図像学の基礎
(6)宗教と建築
キリスト教国における、中世の宗教建築を中心に扱う回です。これまでの全ての回で扱った、ギリシア/ローマ神話的世界から、キリスト教的価値観の広まり、美術史全体の流れ、アトリビュートなどが、ぎゅっと詰まったおさらいのような回でもあります。
観光ガイドのような要素も、多く盛り込んでいる回ですので、今後フランスやイタリアに旅行に行く際にも、ご参考にしていただけると思います。大勢の観光客が通り過ぎなるなか、立ち止まって、「何かをじっと見つめる人」になってしまうかもしれません。
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◎ キリスト教社会における建築物の役割 ◎ ロマネスク建築 ◎ ゴシック建築 ◎ゴシック建築を支えるもの ◎ 聖堂の造りそのものに込められた宗教的意味 ◎ 大聖堂の彫刻 ◎ノートルダム大聖堂に言ったら、観るべき部分はココ ◎ 美徳と悪徳 ◎ ステンドグラスの基本的な見方 ◎ 建築物以外の宗教美術(タピスリー、写本など)
(7)光と闇 色彩と影
ここからは、西洋絵画の「技法」についてメインに扱っていきます。西洋美術の歴史のなかで、画家たちは、目に映るものをどう表現してきたか探求して行きましょう。まずは、光と闇、色彩と影という概念を掘り起こします。
◎タイトルから連想する作品は... ◎光と闇がもたらす効果 ◎ 光と闇の「魔術師」たち ◎ローマ中に流行った○○様式 ◎色が見えるメカニズム ◎ 色相、彩度、明度、補色の効果 ◎ ヒストグラムで比較 ◎ 闇を描くことで光を描く 両者の深い関係 ◎印象主義絵画に見られる特徴 ◎ 色を濁らせないで描く 混色の仕組み 他
(8)線で描く 面で描く
「線」と「面」という概念を持って絵を見ることで、テーマによる明確さとは別の意味で、絵の内容の細かな部分にも焦点をあてられるようになっていきます。この回を聞いた前と後とでは、絵の見え方が大きく変わると思います。
◎ 線的/面的という概念について ◎ 線が優位の絵画とは? ◎ ヴェルフリン5つの対立概念 ◎古典主義絵画に見られる特徴 ◎ バロック絵画に見られる特徴 ◎ 「歴史は繰り返す」の事例 ◎ 輪郭線の不思議 ◎ 例外事例 ◎世界の捉え方に起因する 他
(9)角度で語る世界
主題と技法はセットです。技法は、主題からの影響を受けるということを体感として落とし込み、絵の中に仕組まれた巧妙な仕掛けに、気づける眼を養います。
◎あえてその角度にするのはなぜか ◎「事実を書く・事実に見えるように描く ◎テクニックとしての角度 ◎ものの見方のくせ ◎人物像に見られる角度の意味 ◎視点の定め方 ◎歪んだ角度 ◎角度で語る近代絵画の父 ◎角度に対する感性を磨くには 他
(10)見えるものを描く 見えないものを描く
絵画はそもそも見るもの。しかし、眼に見えないものを描くために、画家たちは心をくだいてきました。さまざまな切り口から「見る」ということについてとらえ、「絵画芸術」の在り方について考えます。
◎ 芸術としての絵画 ◎ メッセージを伝える絵画と、視覚的印象の再現を目的とした絵画の違い ◎描いてはいけないもの ◎見えないものを描くための技巧 ◎ 見えるものを描く ◎見えないものを描く 他